2017年09月07日

増える健康食品、化粧品の健康被害。「皮膚障害」「消化器障害」相談が大幅増加(PIO-NETにみる2016年度の危害・危険情報)

先日の記事では、医師からの情報提供による、健康食品の事故情報をお伝えしました。

今回は、PIO-NETにより収集した全国の消費生活に関する相談情報より、商品・役務・設備に関連して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けた「危害・危険情報」についてご紹介します。
2016年度は、健康食品の危害相談が急増していることが読み取れます。

●「危害」の相談、3年ぶりに件数増加
「危害・危険情報」は 15,153 件で、対前年度比でみると 0.3%増となった(2015 年度:15,114件)。
「危害情報」は11,602件、対前年度比でみると9.1%増(2015 年度:10,638件)。
相談は常時10,000件以上寄せられている。
2013年度は13,700件と大幅に増加したが、2014年度、2015年度は減少傾向だった。
「危険情報」は3,551件、対前年度比でみると20.7%減(2015 年度:4,476件)。
PIO-NET危害・危険相談件数(2016年度).png
(注 1)
PIO-NET (パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベース。
(注 2)「危害・危険情報」とは、商品・役務・設備に関連して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという情報(「危害情報」)と、危害を受けたわけではないが、そのおそれがある情報(「危険情報」)をあわせたもの。データは、2017年5月末日までの登録分。なお、2007年度から国民生活センターで受け付けた「経由相談」は除いており、2015年度以降は消費生活センター等からの経由相談を除いている。

「危害情報」の概要
●健康食品の「危害」相談が急増

1 位は「健康食品」1,866件、前年度(3位、898件)から 968件大幅に増加した。
2 位は「化粧品」1,168件、前年度(1位、1,036 件)からランクを落とすも132件増加。
3 位は「医療サービス」926件、前年度(2位、904件)から22件増加。
4 位は「エステティックサービス」564件、前年度(4位、521件)から43 件増加。
5 位は「外食」467件、前年度(5位、501件)から34件減少。
PIO-NET危害相談商品別(2016年度).png


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2017年09月06日

続々注意喚起、医師からの健康食品による事故情報(ドクターメール箱、健康食品安全情報システム)

最近、健康食品の危害情報についての注意喚起が続いています。

2017年4月に東京都が、「目のピント調節」をうたう機能性表示食品が原因と疑われる薬物性肝炎の重篤な健康被害の事例を公表。
7月にはプエラリア・ミリフィカを含む健康食品での健康被害問題に対して、国センが商品テストを行い、それを受け、厚労省がプエラリア・ミリフィカを取り扱う事業者の監視指導、調査を行いました。現在、調査結果を踏まえたプエラリアに対する今後の対応が検討されています。

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薬事・食品衛生審議会 (食品衛生分科会新開発食品調査部会新開発食品評価調査会)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127894
プエラリア・ミリフィカを含む「健康食品」について
《2017年9月4日 配付資料一覧》
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000176514.html
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更に、平成29年8月3日には、国民生活センターより、健康食品摂取による薬物性肝障害の事故についての注意喚起がなされています。
国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」(愛称:「ドクターメール箱」。)(※1)に、2017年7月20日までに寄せられた情報179件のうち、9件が健康食品の摂取による「薬物性肝障害」と診断されたものでした。
(※1)
消費者が商品・役務の利用等により事故に遭い医療機関を受診した情報を直接医師から得ることで、事故情報を早期に把握し、再発・拡大防止に役立てるため、2014年8月より国民生活センターホームページ上に開設。
「医師からの事故情報受付窓口」http://www.kokusen.go.jp/jiko_uketuke/index.html
ドクターメール箱.png

《医師からの事故情報受付窓口の概要図(国民生活センター)》
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健康食品の摂取により薬物性肝障害を発症することがあります
−「医師からの事故情報受付窓口」から−
(独立行政法人国民生活センター 平成29年8月3日)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170803_1.html
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また、公益社団法人日本医師会の「健康食品安全情報システム」事業(※2)には、健康食品による薬物性肝障害の情報が2006年11月から2017年6月までの10年8カ月の間に27件寄せられています。
日本医師会では、健康食品による肝障害等の情報提供について、2017年7月10日に会員宛の周知を行っています。
(※2)
患者からの相談や日常の診療から知り得た健康食品による健康被害に関する情報を医師から収集し、診療の現場に還元して役立てるために公益社団法人日本医師会が実施している事業。

今回は、ドクターメール箱と、日本医師会の「健康食品安全情報システム」に寄せられた健康食品による薬物性肝障害の情報を確認します。

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2017年08月01日

健康食品の健康被害と商品名公表(東京都 平成28年度「『危害』の消費生活相談の概要」)

先日の記事でもご紹介したように、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品での健康被害問題に対して、国センが商品テストを行い、それを受け、厚労省が消費者庁や自治体と連携し、プエラリア・ミリフィカを取り扱う事業者の監視指導、調査に乗り出しています。

健康食品の危害情報にまつわる事件としては、「目のピント調節」をうたう機能性表示食品が原因と疑われる重篤な健康被害の事例が、今年4月に東京都の平成28年度の「『危害』の消費生活相談の概要」(※)で公表されたとして物議をかもしています。
※「危害」とは、商品・役務・設備に関して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという相談。

今回は、都内の消費生活センターに寄せられた「危害」の相談の全体傾向と相談上位の薬事関連商品(「健康食品」「基礎化粧品」「頭髪用化粧品」)について確認しながら、健康食品の健康被害に対する消費者団体や行政の対応方針についてチェックしてみます。

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