先日の記事では、ネット販売での製品安全関係法の違反件数が増加していることをお伝えしましたが、他方、消費者側の日用品の安全性に関する意識はどうでしょうか。
経済産業省では、製品安全関係法で指定する対象製品を購入の際は、必ずPSマークの表示を確認するようにと注意喚起しています。(※)
(※)
(消費者向け)インターネット取引で製品を購入される皆様へ:経済産業省
https://www.meti.go.jp/product_safety/consumer/system/consumer_product-safety-4law-overview.pdf
また、消費者庁では、2019年9月に全国の15歳以上79歳以下の消費者3000人を対象に「日用品の安全性に関する意識調査」を実施し、価格と安全性に対する考え方を明らかにしています。
背景には、安価な100円ショップ等で購入した雑貨や、化粧品、子供用の玩具などの日用品での重大事故の発生があります。
消費者庁には、2015年1月〜2019年12月末の5年間に100円ショップで購入した日用品に関する事故の情報が339件寄せられています。
調査によると、男性の方が女性よりも安全性に対する意識が低い傾向があり、高価格なものと比べて安価な日用品を購入する場合は、安全性に対する意識が低くなりがちで、安全性に関する表示を確認することなく、衝動的に購入してしまう傾向が見られました。
日用品の購入時の安全性への意識や表示の確認行動について、確認してみましょう。
まずは、100 円ショップで購入した日用品について、事故情報データバンク(※)に寄せられた事故情報を確認します。
(※)
関係機関から「事故情報」、「危険情報」を広く収集し、事故防止に役立てるために、消費者庁が(独)国民生活センターと提携して運用しているデータ収集・提供システム(平成 22 年4月運用開始)
●100 円ショップで購入した日用品の事故内容
5年間(2015年1月〜2019年12月末)に寄せられた事故情報は339件で寄せられており、事故内容は、その他の事故を除くと、火災事故等が最も多く59件、次いで異物の混入・侵入の事故33件、製品破損29件発生している。
●事故の多いのは、電気小物、衛生美容用品、雑貨類
分類別では、電気小物が最も多く73件で、電池の液漏れや、スマートフォンの充電コードの不具合による発火等。
衛生美容用品が71 件で、化粧品、特にマニキュアでの事故が多く見られる。
雑貨類が64 件で、ライターや工作用品等。次いで食器類30件、食品28件、掃除洗濯用品22件。
玩具類16件で、子供が誤って小さな部品を飲み込む等の事故が多く発生している。
続いて、消費者が日用品を購入する際の安全性に対する意識について確認します。
●購入時の安全性への意識
「日用品を購入するとき、安全性を考えて購入することはない」(「ほとんどない」「全くない」計)と回答した割合が、男性は43.5%であるのに対し、女性は30.0%であり、男性の方が安全性に対する意識が低い傾向が見られる。
年代別の傾向を見ると、男女とも、60歳以上の安全性意識は高い傾向。
●購入時の重視点
日用品を購入する際に重視するものは、主に「価格」(82.8%)と「機能」(73.6%)
に次いで3番目に「安全性」(41.8%)となった。
●価格による意識の違い
日用品を購入する際に価格の違いによる安全性等に対する意識の違いを調べるために、「500 円未満」と「10,000 円以上」の日用品を購入するときの意識の違いを比較した。
「価格と機能が見合っているかを考えてから購入」
500 円未満:かなり当てはまる(17.9%)、ある程度当てはまる(47.7%)
10,000 円以上:かなり当てはまる(34.5%)、ある程度当てはまる(38.5%)
「製品の安全性まで考えてから購入」
500 円未満:かなり当てはまる(6.9%)、ある程度当てはまる(30.6%)
10,000 円以上:かなり当てはまる(34.5%)、ある程度当てはまる(38.5%)
10,000円以上の製品購入に関しては、「価格と機能の考慮」と「安全性の考慮」とで意識に違いはなかった。
500円未満と10,000円以上の比較では、「価格と機能の考慮」と「安全性の考慮」のいずれも、「当てはまる」(「かなり当てはまる」「ある程度当てはまる」計)の割合が500円未満の方が10,000円以上より低くなる傾向が見られる。
特に、「価格と機能の考慮」では7.4ポイント差に対して、「安全性の考慮」では35.5ポイントの差が見られ、500円未満の方の低下の幅が大きく、価格によって大きく影響を受けている。
●価格による表示の確認
「「『警告』、『注意』、『対象年齢』などの表示を確認してから購入」
500 円未満:かなり当てはまる(8.1%)、ある程度当てはまる(29.3%)
10,000 円以上:かなり当てはまる(15.6%)、ある程度当てはまる(33.1%)
「当てはまる」(「かなり当てはまる」「ある程度当てはまる」計)の割合は、500円未満では37.4%であり、10,000円以上の48.7%よりも低く、安価な日用品は表示を確認しないで購入する傾向が見られる。
特に男性は、女性と比較すると、表示を確認しないで購入する傾向が見られる。
消費者は、特に安価な日用品は安全性を考慮せず購入しがちです。
大切なお客様を事故から守り、安心して製品利用していただけるよう、お客様の目に留まりやすい方法での使用上の注意など安全情報の提供に、一層の配慮を心がけましょう。
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日用品の安全性に関する意識調査
調査方法:インターネット調査
実施期間:2019年9月11日(水)〜9月13日(金)
調査対象:有効回答者数 3,000人
全国の消費者(15歳以上79歳以下)を対象に、性別及び年齢(7区分)を人口構成比に割り付けて抽出した。
日用品の安全性に関する意識調査 −価格と安全性に対する考え方について−
(消費者庁 2020年3月4日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_028/
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≪関連記事≫
・ネット販売による製品安全関連法違反件数が全体の5割に。経産省のモール運営事業者との連携進む(2020年6月1日)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/475899874.html
・玩具だけじゃない。子供の家庭内での製品事故を防ぐための対策を
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・販売商品選定時には安全性認証マークを確認しよう
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・AIスピーカーでの誤発注はキャンセルされるのか?「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。(経済産業省 平成30年7月)
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