依頼内容:
「ネックレスを着用したら、首がかぶれた。チェーンからニッケルの溶出がないか調べてほしい。」
商品:
カタログギフトで入手した、チェーン部分にシルバー925(注1)が使われているという真珠のペンダントネックレス。当該品の丸カン部分に「STERING」(注 2)の刻印あり。
トラブル内容:
相談者はニッケル、ステンレス等にアレルギーを持っており、初回の着用で首筋がかぶれた。その後、相談者が販売事業者に問い合わせたところ、チェーン部分のシルバー925には、下処理にニッケルめっき、その上からロジウムめっきを施しているとのことだった。
同梱されていたカードには、取扱い上の注意として「体質によって、かゆみ・かぶれが生じる場合がありますので、皮膚に異常を感じたときは、ご使用をお止めいただき、専門医にご相談ください。」と記載されていたが、金属アレルギーの原因となることがあるニッケル等の金属が使われている旨の記載はみられなかった。
(注 1)「シルバー925」
純度 925 ‰(パーミル)(=92.5 %)の銀を指す用語。純銀は柔らかく傷つきやすいため、純度の高い銀をアクセサリーや硬貨等で用いる場合は微量の銅等を加えた合金とすることが一般的。
(注 2)「STERING」
Stering Silver(英国硬貨純度の銀)の略記であり、「シルバー925」と同じく純度 92.5%
の銀を指す。
ニッケルは耐食性に優れているなどの特性や、その色合いから、めっき加工などに広く用いられているが、皮膚などへの長期接触により、アレルギー性皮膚炎等を引き起こす場合があることが知られている。
《テスト結果》
当該品のチェーン部分からのニッケルの溶出量を調べるため、欧州規格(注3)に準拠した試験を行ったところ、67.1 μg/cm2/週と、欧州での基準値(0.5 μg/cm2/週)を超えていた。
(注3)欧州規格
耳及びその他人体に挿入されるピアスポストアセンブリー、皮膚に直接かつ長時間接触する成形品からのニッケルの溶出試験基準。
日本で法的な規制はないが、欧州では皮膚に直接かつ長時間接触する可能性のある製品(ネックレス、ブレスレット、指輪、アンクレット、腕時計等)については、ニッケルの溶出量に関して単位表面積当たりの 1 週間の溶出量の基準が設けられ、それを超える製品の流通が規制されている。
《解決内容》
依頼センターから販売事業者にテスト結果を伝えたところ、販売事業者から、8 月以降のカタログには「ロジウムメッキ(下地にニッケルを使用もしくは含む)」と明記するとの回答あり。
ジュエリー小売市場チャネルで伸びている通販においては、不当表示が横行している現状が指摘されています。理由として、アクセサリーの表示に関する強い規制が存在しないことが考えられます。
今回のケースは「不当表示」ではありませんが、あらかじめきめ細やかな表示がなされていれば、消費者の健康被害を未然に防ぐことができました。
ジュエリーの通販事業者は、現物の確認や対面販売のような商品説明が得にくい取引形態だけに、「商品の誤認説明や誤認表示」とならないように、正しい表示や説明を行なうことが求められます。
日本ジュエリー協会では、ジュエリー及び貴金属製品の素材等について、表示・表現に関する業界自主基準を定めています。この基準は、JIS・ISO規格などをもとに景表法や不正競争防止法などの関連法律を踏まえた内容になっており、適正表示の参考になります。
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ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定
(平成24年度改訂版)
http://www.jja.ne.jp/books/pdf/kikinzoku.pdf
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チェーン部分からニッケルが溶出したネックレス(相談解決のためのテストから No.91)
(国民生活センター 2015年9月17日)
http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20150917_2.html
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≪参考記事≫
・ジュエリーの消費者相談、2012年度大きく減少。ジュエリー業界の消費者志向進む
(2012年度 日本ジュエリー協会)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/361062298.html
・国民生活センターの商品テストや情報公開を、前向きに活用しよう
http://blog.fides-cd.co.jp/article/285497072.html
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*このサイトのご利用に際して
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本規定を評価していただき、本来の目的に添ったことと感謝いたします。
本規定を紹介いただいた欄に、経産省の指導のもととありますが、最終的には確認を頂いていますが、この規定は業界標準としてあくまで自主的に制定したものです。経産省の直接の指導は事前事後ともありません。
自主規定であるだけに、消費者にとってより有利になるように努めました。
一言、御礼を内容をご紹介いたしました。
03-3931-8101 090-1464-5124
『CS情報局』を運営しているフィデスです。
コメントありがとうございます。
返信が遅くなり、大変失礼いたしました。
表示既定の作成責任者でいらしたとのこと。
このような業界の取り組みで、消費者トラブルが未然に防げることを期待しています。
ご指摘の記載の箇所は削除修正いたしました。
ご指摘ありがとうございます。
引き続き、よろしくお願いいたします。