宅配便を利用する上で起きる遅延・破損・紛失等といった、様々なトラブルが国民生活センターや消費生活センターに寄せられていますが、国民生活センターでは、これらのトラブルは単に運送事業者の責任によるものだけではなく、通販事業者や消費者の取り組みと併せることで改善できるとしています。
国民生活センターでは、通販での宅配便利用における消費者相談情報を基に、運送事業・通販事業の両事業者団体へのヒアリングをふまえ、消費者トラブルを減らすため、消費者へのアドバイスと、事業者団体への要望を行いました。
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通信販売における宅配便トラブルを減らすために
−運送事業者・通販事業者・消費者、それぞれが取り組めること−
(国民生活センター 平成27年3月26日 )
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20150326_1.pdf
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通販での宅配便利用におけるトラブルにおける問題点と、通販事業者として行えるトラブル防止策を取り上げます。
●宅配便等取扱実績とサービスシェア
平成25年度の宅配便取扱個数は、36億3,668万個(うちトラック運送は、35憶9,506万個、航空など利用運送は、4,162万個)。
前年度比では、1憶1,068万個・3.1%増で、4年連続で対前年度比増となった(うちトラック運送は、1億910万個・対前年度比3.1%増、航空など利用運送は、158万個・対前年度比4.0%増)。
便名ごとのシェアをみると、トラック運送については、上位3便(「宅急便(ヤマト運輸)」46.3%、「飛脚宅配便(佐川急便)」33.9%、「ゆうパック(日本郵便)」11.9%)で92.2%を占めている。
平成25年度のメール便取扱冊数は、56億3,772万冊で、前年度比では、1憶6,637万冊・3.0%の増加となっている。
メール便のシェアをみると、上位2便「ゆうメール(日本郵便)」59.0%、「クロネコメール便(ヤマト運輸)」37.0%で96.0%を占めている。
(「クロネコメール便」は平成27年3月31日で廃止)
(※1)
平成25年度 宅配便等取扱実績について
(国土交通省2014年7月17日)
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000080.html
●宅配便サービスの相談件数推移
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられた2013年度の宅配便サービスの相談件数2,632件のうち通信販売が関わる相談件数は284件、2014年度(2015年2月20日までの登録分)は2,170件のうち260件(2013年度同月日の比較数値は227件)と推移している。
宅配便相談のうち通信販売が関わるものは1割強を占める状況となっている。
●相談事例からみる問題点
1)運送手段に関する情報が消費者に浸透していない
軽量・小容量の商品購入時に、同サイズの宅配便に比して低価格で発送できる「メール便」は、そもそもカタログやチラシなど「信書でないもの、替えが効くもの」の送付を念頭としており、内容品に関する補償がないことや、到着日が確約されていない等の条件がある。しかし、その情報が消費者に浸透していないことから、「記録上は配達済みとなっているが、実際には受け取れていない」等の事故が起きた場合、消費者の不満が高まって、苦情に至る事例が見られる。
2)購入者(消費者)は運送契約の当事者ではない
宅配便の約款では、運送時の破損等に基づく補償を求める場合、原則的に荷送り人(この場合、通販事業者)が運送事業者に求める立場となる。
消費者は、運送事業者と契約してはおらず、直接的には補償等を求められる関係にはない。
消費者から見れば、商品代金と送料を支払っている(負担している)ものの、この認識が浸透していないことが、トラブル発生時の事実確認や代替品送付など、問題解決に至る手間や時間も含めて、苦情につながるケースも見られる。
3)不適切な荷扱いに関するものが目立つ
運送事業者においては、トラック以外にも鉄道・船舶・空路等、輸送モードの多様化、集配設備の整備、IT を活用した運送の効率化、冷蔵・冷凍車の増強整備などを行っている。
一方、消費者に荷物が手渡される段階の遅延・未着・紛失・破損に関する苦情も多く、配達先の環境や状況が各戸により千差万別となっている。
4)配達日時に関する消費者のシビアな期待
運送スピードの向上と、消費者も配達状況を調べられるようになったことが、ライフスタイルの変化と相まって、配達日時に大きな期待を寄せるようになった。
配達日時の指定も、消費者にとって「今や当たり前」という意識になってきた一方、宅配便モデル約款においては「道路状況等により配達予定日の翌日までは、遅延の責を負わない」とされている。
その反面、配達日時の指定が特にない場合、消費者の不在などにより、運送事業者としても、度重なる持ち戻りが起きることは、結果的にお互いのメリットにならない状況である。
5)通販事業者・運送事業者における過度な配達スピードへの対応
最近は、注文後の即日発送どころか、地域によっては即日配達をセールスポイントとする通販事業者も存在している。
《 通販事業者のトラブル対策 》
(1)運送方法については、費用・簡便性・信頼性の観点から、お客様が複数の手段から選択できるような態勢構築を。
同時にお客様が運送方法ごとの特徴や条件をふまえて検討した上で、受取方法が選択できるようサイト上でわかりやすく情報提供する。
(2)宅配ボックスやコンビニ・営業所留め等、お客様側の受取条件や設備・手段の多様化に対応した態勢整備を。
(3)配達日や時間帯指定商品については、配達遅延のリスクを低減させる取り組みとして、以下を実施検討する。
@適切な在庫管理と、連動した表示
A無理のない範囲で配達希望日や時間帯が選択できるような態勢整備
(4)運送時の荷物破損等による対応について、消費者からの申出がスムーズに行えるよう、表示や案内を整備する。
通販における配送サービスが激化する中、お客様の理解や運送事業者の協力を得ながら、トラブル低減を図りましょう。
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・「品切れ、入荷遅れ」にまつわる消費者とのトラブル事例と対策のヒント
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