今回の主な改定内容は、以下の3項目です。
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【1】新たな裁判例(ピンク・レディー事件)に伴う修正
・インターネットと肖像権・パブリシティ権等に関する論点の修正
【2】新たな裁判例(チュッパチャプス事件件)に伴う修正
・電子商店街(ネットショッピングモール)運営者の責任に関する論点の修正
・CGM(Consumer Generated Media)サービス提供事業者の違法情報媒介責任に関する論点の修正
・インターネット上への商品情報の掲示と商標権侵害に関する論点の修正
【3】著作権法改正に伴う修正
(1)著作物の写り込みに関する論点の修正
(2)インターネット上の著作物の利用に関する論点の修正
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上記改訂の中で、特に物販ネット通販で気になる【1】【2】【3】(1)の項目について、今回は【1】を解説します。
【1】新たな裁判例(ピンク・レディー事件)に伴う修正
準則の「U-9 インターネットと肖像権・パブリシティ権等」について、当該判決を受けて、次の追記・修正がなされました。
パブリシティ権侵害が成立するとされる「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合」の「専ら」の3類型について、追記・修正。
その他、肖像権に関する判例等を追記・修正。
ピンク・レディー事件:(最高裁第一小法廷平成24年2月2日判決(平成21年(受)第2056号事件))
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120202111145.pdf
歌手を被写体とする写真を同人に無断で週刊誌に掲載する行為が、いわゆるパブリシティ権を侵害するものではなく、不法行為法上違法とはいえないとされた事例。
パブリシティ権とは:
著名人等の肖像・氏名等の識別情報が、これに関連づけられた商品などについて顧客誘引力ないし販売促進効果を発揮する場合に、その識別情報が有する経済的利益ないし価値(パブリシティ価値)を当該著名人が独占的に支配する権利
追記・修正内容:
(準則A.72-73頁)
ピンク・レディー事件最高裁判決においても、「肖像等に顧客吸引力を有する者は、社会の耳目を集めるなどして,その肖像等を時事報道,論説,創作物等に使用されることもあるのであって,その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もあるというべきである」とし,「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為上違法となる」と判断して「専ら」基準を採用した。
そして,上記最高裁判決では、「専ら」基準において権利侵害が成立する次に掲げる典型的な三類型を提示している。
@ 肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合
A 商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付する場合
B 肖像等を商品等の広告として使用する場合
上記の三類型のうち第1類型と第2類型は肖像等を「商品化」する場合であり,第3類型は,肖像等を「広告化」する場合をいうこととなる。表現行為,創作行為等に対する萎縮効果をできるだけ防ぐために,パブリシティ権侵害となる場面をできるだけ限定してこれを明確に示したものということができる 。
最高裁判決では,肖像権もパブリシティ権も同様に人格権に由来するものとしつつ,パブリシティ権は,肖像等それ自体の「商業的価値」に基づくものであると判断していることから,「精神的価値」とは明確に区分して「商業的価値」という人格の財産的側面のみを純化,抽出してこれを権利として構成し,限定的な保護を与えているものといえる 。
著名人の肖像をウェブページ上の広告等に使用する場合には、「B肖像等を商品等の広告として使用する場合」にあたるため、著名人の承諾がなければパブリシティ権侵害とされる可能性は高いと考えられます。
仮に著名人の肖像等が直接的に広告に使用された場合でなくとも「著名人の肖像等の顧客吸引力を「専ら」利用していると評価できる場合」には、パブリシティ権侵害となりうるので注意が必要です。
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【2】新たな裁判例(チュッパチャプス事件件)に伴う修正については、次回ご紹介します。
(※)
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」とは
電子商取引、情報財取引等をめぐる現行法の解釈の指針となるもの。
電子商取引、情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめとする関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることで、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、学識経験者、関係省庁、消費者、経済界などの協力を得て、経済産業省により平成14年3月に策定された。
電子商取引、情報財取引等をめぐる取引の実務、それに関する技術の動向、国際的なルール整備の状況に応じて、今後も柔軟に改訂していく予定。
≪参考資料≫
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」について
http://www.meti.go.jp/press/2013/09/20130906006/20130906006-2.pdf
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(本文)
http://www.meti.go.jp/press/2013/09/20130906006/20130906006-3.pdf
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