消費者庁は、「ソーシャルゲーム」、「口コミ(サイト)」、「サクラサイト」の3つの分野について、平成24年に全国消費生活情報ネットワーク・システム(PIO-NET)に入力された相談の内容を分析し、「インターネット取引に係る消費者トラブルの実態調査」として発表しています。
( 2013年1月31日までに登録されたもので、口コミ(サイト)の相談件数は3,212件)
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インターネット取引に係る消費者トラブルの実態調査
(消費者庁 平成25年4月3日)
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/130403adjustments_2.pdf
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今回、ネット通販事業者さんに関連の高い「口コミ(サイト)」について取り上げ、事業者としての対応策を考えます。
●口コミを参照するタイミングで異なる消費者トラブルの背景
消費者が口コミを参照するのは、契約しようとしている商品・サービスの内容が分かりにくい場合などに、予めその他の利用者の「意見」を確認するためと想像され、多くは購買(支払)前のタイミングに行われると考えられる。このとき参照した口コミが意図的に優良誤認を誘引する情報であれば、不適切投稿となり得る。
他方、消費者行動論によれば、消費者は自分の選択が正しかったことを確認したいという機制が働くため、購買後に口コミを参照したところ、低い評価が多いことを知り、購買前に触れた商品・サービス情報が不適切だったのではないかと訴えるものが多く寄せられている。
このように、口コミを参照するタイミングが購買(支払)の前か後かによって相談内容が異なる。
●相談が多い商品は携帯ゲーム、キャラクター商品等、サービスでは美容、出会い系・ギャンブル等
大きく商品とサービスに区分すると、「支払前」ではサービス購入に関わる相談が多くなっている。(商品:35.5%、サービス:64.5%)。「支払後」では商品とサービスは同程度(商品:50.9%、サービス:49.1%)。
商品で比較的多いものは「教養娯楽品(携帯ゲーム、キャラクター商品等)」。
サービスでは、「支払前」については「保健・福祉(脱毛・エステ、美容整形、歯科治療等)18.1%」、これらは、パンフレット等の情報のみではその内容等が判断しにくいものである。
「支払後」では、「出会い系サイト、ギャンブル等(14.8%)」のオンライン上のコンテンツ利用に関わるものが比較的多い。
健康食品等(「飲食料品」に含む)の口コミマーケティングに使われやすい商品はさほど多くない。これは、サプリメント等は効果・効能が分かりにくいため、相談になりづらい可能性がある。
●支払前は「優良誤認」、支払後はサービスを受けていない段階で口コミを見て不安
相談に占める「優良誤認」「有利誤認」の割合は、「支払前」では「優良誤認」50.0%、「有利誤認」30.2.%となっている。
「支払後」では逆に「有利誤認」が13.3%で、「優良誤認」の11.0%よりやや多くなっている。
なお「誤認の有無が不明確」が「支払前」で19.0%、「支払後」で73.1%を占めている。これは、商品がまだ届いていないか、サービスを受けていない段階で、口コミを見て不安を感じ、返品・返金を求めるもの等である。
実物を見ていないので、広告・表示との食い違いがあるかどうかは、相談者本人にも分からないはずであることから、やや口コミに判断を頼り過ぎた相談事例も多いと思われる。
●相談内容 は「返金、支払回避、契約解除、賠償請求等」が約6割
相談内容については、「支払前」「支払後」共に「返金、支払回避、契約解除、賠償請求等」が最も多く、6割以上を占め、次いで、「商品の取替・修理、役務の実行」となっている。。
口コミサイトを見たものとは別に、数は多くないが、「口コミ主が事業者等から十分な根拠がない書き込みをするよう依頼を受けた」旨の相談も寄せられている。
●事業者は解約・返品に関するルール整備と、その分かりやすい表示で「返品リスク」軽減を
上記の相談分析より、口コミ関連の相談では、「返金等」を求める相談が最も多く、「口コミ」を活用したマーケティングには、想定される事態といえる。事業者は、このような「返品リスク」を軽減するため、解約・返品に関するルール(キャンセルポリシー)を整備し、消費者が支払前に参照しやすいように分かりやすく表示する必要がある。
最近の主な法規制及び業界自主規制動向は、以下のとおりです。
ご参考下さい。
【消費者庁】
・平成23年10月、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品
表示法上の問題点及び留意事項」(※2)にて、口コミサイトに口コミ情報を自
ら掲載し又は、第三者に依頼して掲載させる場合、その掲載内容について、
優良・有利誤認につながる表示に注意喚起
・平成24年5月、食べログ問題を受けて、口コミ代行業者に依頼して、サイト上
の評価自体を変動させて、高い評価を得ているかのように偽装することを留
意事項に追加
【WOMマーケティング協議会】
・平成22年3月、口コミマーケティングの運用ガイドライン(※2)として、企業の
依頼を受けてブログなどに書く際は、依頼を受けていることや金銭の授受があ
ればそれも含めて明示する「関係性の明示」を義務付け
・平成24年12月、従来のガイドラインに、現実とは異なる消費者行動や評価を装
うことを禁止する「消費者行動偽装の禁止」を追加
【日本アフィリエイト・サービス協会】
・平成24年11月、景品表示法や薬事法、金融商品取引法、貸金業法に抵触する恐
れのある行為など、アフィリエイターの禁止行為を規定した運営ポリシー(※3)
を発表
※1
口コミ代行業者を使ったランキング操作は、景表法違反のおそれあり
http://blog.fides-cd.co.jp/article/270501826.html
※2
WOMマーケティングに関するガイドライン(WOMマーケティング協議会)
http://womj.jp/overview.html#anchor05
※3
アフィリエイト広告に注意喚起。都、日本アフィリエイト・サービス協会と連携強化
http://blog.fides-cd.co.jp/article/307501095.html
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2013年04月17日
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