また、東日本大震災による原発事故から間もなく2年を迎えますが、放射性物質を含む食品の安全性についての消費者の不安は解消されつつあるのでしょうか?
内閣府食品安全委員会では、定点調査として、毎年2回、食品安全モニターの方を対象に、食品の安全性に関する意識調査を実施しています。
平成24年度は、第1 回調査を平成24年7月に実施しました。
平成23年度調査結果(第1回:平成23 年8月、第2回:平成24年3月)との比較を交えて紹介します。(※)
●食品安全について不安を感じる人は64.8%で減少傾向
日常生活を取り巻く分野別不安の程度にいて、食品安全について「とても不安を感じる」、「ある程度不安を感じる」とする回答割合の合計は64.8%となっている。
これは、自然災害(89.6%)や環境問題(83.5%)、重症感染症(新型インフルエンザなど)(67.4%)に比べると低い。一方、交通事故(64.3%)、犯罪(62.5%)、戦争・テロ(47.1%)よりは高くなっている。
また、平成23年度調査(第1回:平成23 年8月)では75.3%と、東日本大震災から4か月後ということもあり一時的に増加していたが、平成23年度調査(第2回:平成24年3月)では67.6%と、前回調査から引き続き今回も減少傾向にある。
●食品の安全性の不安上位3要因は、「食中毒等の原因となる有害微生物(細菌・ウイルス)」「放射性物質を含む食品」「汚染物質(カドミウム・メチル水銀等)」
不安要因別の「非常に不安である」、「ある程度不安である」という回答割合の合計は、以下のとおり。(赤字は割合の増加したもの)
1位:食中毒等の原因となる有害微生物(細菌・ウイルス)(75.8%→79.0%)
2位:放射性物質を含む食品(80.3%→74.2%)
3位:汚染物質(カドミウム・メチル水銀等)(64.4%→64.5%)
4位:農薬(62.5%→63.4%)
5位:動物用医薬品(家畜用抗生物質)(57.2%→57.3%)
6位:器具・容器包装からの溶出化学物質(50.6%→55.6%)
7位:いわゆる健康食品(57.5%→55.5%)
8位:食品添加物(56.4%→53.8%)
9位:体細胞クローン家畜由来食品(49.7%→51.5%)
10位:遺伝子組換え食品(45.4%→49.4%)
11位: BSE(牛海綿状脳症)(47.4%→48.2%)
12位:肥料・飼料等(38.4%→39.2%)
今回調査でも、平成23年度調査(第2回)の不安上位3事項と同様の結果であったが、有害微生物(細菌・ウイルス)による食中毒等と放射性物質を含む食品の順位が入れ替わった。
平成23年度調査(第2回)に比べて、不安回答割合の減少した事項は、食品添加物並びにいわゆる健康食品及び放射性物質を含む食品のみ。それ以外の事項は全て増加している。
最も不安回答割合が減少したのは放射性物質を含む食品(6.1%減少、80.3%→74.2%)だったが、依然として高い水準にある。
●いわゆる健康食品への不安理由は、「科学的な根拠に疑問」「行政による規制が不十分」「事業者の法令遵守や衛生管理が不十分」
上記3事項で不安理由の約6割を占め、「行政による規制が不十分」「事業者の法令遵守や衛生管理が不十分」については平成23年度調査(第2回)より割合が高まっている。また、「事業者からの食品の安全性に関する情報提供が不十分」が次いで13.1%となっている。
自由回答として、健康に与える効果・影響が不明確で信頼できない、事業者の誇大広告、消費者の理解が不十分などの意見があった。
一方、不安を感じていない理由として高かったのは「漠然とした安心」で、24.5%となっている。
自由回答として、健康食品が必要ない・食さないため、使用する個人の責任であると考えているためなどがあった。
≪食品の安全性の観点から不安を感じている理由(いわゆる健康食品)≫
≪食品の安全性の観点から不安を感じていない理由 (いわゆる健康食品)≫
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●放射性物質を含む食品の健康に与える影響に不安を感じているのは74.2%
放射性物質を含む食品について「非常に不安である」「ある程度不安である」とする回答割合の合計は、74.2%であり、平成23年度調査(第2回:平成24年3月)より6.1%減少した。
属性別比較では、「非常に不安である」とする回答割合が高いのは、性別では女性(48.2%)、年代別では20〜29 歳(46.2 %)が高い。
今回調査と平成23年度調査(第2回)で、「非常に不安である」「ある程度不安である」とする回答割合の合計を年代別に比較すると、60〜69歳を除く全ての属性で減少しており、特に30〜39歳(10.6%減少、85.3%→74.7%)、70歳以上(25.8%減少、85.8%→60.0%)、で大きく減少している。
≪放射性物質を含む食品に対する不安の程度≫
一段目:今回調査の結果(平成24年7月実施)
二段目※:平成23年3月実施調査(第2回)
三段目※※:平成23年8月実施調査(第1回)
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●女性の約50%が、震災前後で飲食料品購入の意思決定の変化が続いている
震災前後で飲食料品購入の意思決定の変化について、「東日本大震災以降で変化し、現在も続いている」(44.2%)、「東日本大震災の前後で変化はない」(30.2%)、「東日本大震災の直後は変化したが、現在は以前と同じに戻った」(22.1%)の順となっている。
性別で見ると、男性は「東日本大震災の前後で変化はない」とする回答割合が(40.4%)、女性は「東日本大震災以降で変化し、現在も続いている」が(51.8%)で最も高い。
自由回答として、贈答品を選ぶ際に注意するようになった、震災直後は変化したが今は生産者のことを考慮している、その都度変化しているなどの意見があった。
≪東日本大震災前後の飲食料品の購入等に係る意思決定の変化≫
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全体的な食品安全についての消費者の不安は減少傾向にあり、放射性物質を含む食品の健康に与える影響への不安も収まってきていることが窺えます。しかし、未だ、震災前後の飲食料品購入の意思決定の変化は続いているようです。
(※)
食品安全モニター課題報告「食品の安全性に関する意識等について」
(食品安全委員会 平成24年7月実施)
http://www.fsc.go.jp/monitor/2407moni-kadai-kekka.pdf
《参考記事》
●震災後1年、放射性物質を含む食品への健康不安は8割。震災後低下傾向にあるが、根強く残る
(食品安全モニター「食品の安全性に関する意識調査」平成24年3月実施)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/289317663.html
・根強く残る原発事故による食品への影響に対する不安
(食品安全モニター「食品の安全性に関する意識調査」平成23年8月実施)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/266841714.html
・原発事故の影響地域の生鮮食品を「買わない」は約4割。昨年7月と変わらず
(日本政策金融公庫 平成23年度第2回「消費者動向調査」)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/259180980.html
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