2012年12月21日

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。共同購入クーポンの当事者間の責任分担は?(平成24年11月 経済産業省)

前回の記事では、11月20日公表された「電子商取引及び情報財取引等に関する準則(※)」の9回目の改訂7項目のうち、以下を紹介しました。
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【1】 ウェブサイトの利用規約の契約への組入れと有効性に関する論点の修正
【2】 なりすましによる意思表示となりすまされた本人への効果帰属に関する論点の追加・修正
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今回は、【3】共同購入クーポンをめぐる法律問題に関する論点の追加
を取り上げます。

【3】共同購入クーポンをめぐる法律問題に関する論点の追加
◆クーポン及び共同購入クーポンサービスの取引類型と法的性格について記述された。
クーポンが正常に履行されなかった場合など、当事者間の責任分担について分析を行う前提として、以下の3つの典型的な取引類型を挙げて法的性格を分析した。

@債権譲渡
クーポンサイト運営事業者がクーポンの販売者となり、クーポン購入者へ債権(加盟店に対し商品の引渡し又はサービス等の提供を求めることができる債権)譲渡していると評価できる場合。

この場合、クーポンをめぐる法律関係については、主として、上記のような債権の売買契約を巡る法律関係を検討することになる。

A販売インフラ提供
加盟店とクーポン購入者間で、クーポンの商品の引渡し又はサービスの提供についての契約が存在し、クーポンサイト運営事業者が、加盟店に対しクーポン販売と集金代行のインフラを提供していると評価できる場合。

クーポンに記載されたサービス等の内容に問題があり、クーポンの購入者に被害が生じた場合、原則としてクーポン購入者と加盟店との間での契約の問題となる。
一方で、クーポンサイト運営事業者については、商品の引渡し又はサービスの提供についての契約の当事者としての責任を負わず、媒介契約の当事者としての責任又は同事業者とクーポン購入者間の契約責任の有無を検討することになる。

B広告及び集金代行
クーポンサイト運営事業者が、加盟店のクーポンに関する広告を掲載しているにすぎず、契約成立に向けた事実上の行為を一切行わない場合。

この場合、加盟店とクーポン購入者間での商品の引渡し又はサービスの提供についての契約の締結を媒介していると評価されず。
(もっとも、この場合は、あくまで広告掲載であり、クーポンサイト運営事業者は広告掲載による手数料の支払を受けるにすぎないので、手数料があまりに大きく、実際上クーポンサイト運営事業者側に全体の事業収益が帰属している場合や、利用規約上、加盟店がクーポンの販売者であることを明記していないような事例では、このように評価できない事例も存在しうる)

この場合も、問題のあるクーポンが発行された場合は、原則として、加盟店とクーポン購入者間の法律問題となる。
クーポンサイト運営事業者の責任については、広告媒体の責任又は同事業者とクーポン購入者間の契約責任の有無を検討することになる。

@債権譲渡クーポン_債権譲渡.png

A販売インフラ提供クーポン_販売インフラ提供.png

B広告及び集金代行クーポン_広告及び集金代行.png


◆クーポンサイト運営事業者が損害賠償責任を免れない場合がある。
クーポンサイト運営事業者に損害賠償責任が認められるとしても、利用規約上、以下のような規定が存在することが多い。

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クーポンサイト運営事業者利用規約第●条
クーポンサイト運営事業者は、加盟店のサービス提供について何ら責任を負わないものとします。
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しかし、上記のような利用規約があっても、クーポンサイト運営事業者が損害賠償責任を免れない場合がある。
クーポンサイト運営事業者に損害賠償責任が認められ、かつ、クーポン購入者が消費者である場合は、この利用規約上の規定は消費者契約法第8条第1項第1号の「消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する条項」に該当し、無効となる可能性がある。

◆クーポン表示の景表法上の責任は加盟店に。
共同購入クーポンサイトにおけるクーポン紹介の表示内容(価格表示・商品又は役務の品質・規格その他の内容)については、加盟店がその責任を負う。
もっとも、この場合でも、クーポンサイト運営事業者が価格決定、商品又は役務の内容などクーポンの設計にある程度関与する場合もあるわけであるから、クーポンサイト運営事業者が、このような表示が起こらないよう配慮する必要はある。

準則では、「共同購入クーポンサイトには、事業者毎に利用規約も異なれば、クーポンの行使によって享受できるサービスも様々な形態があり、現時点では、その法的評価についても1つの見解を断定することはできず、厳密には個別の事例毎に評価していくことになるが、法的な考え方の方向性について検討することは有意義である。」と記述されています。
取引を理解するうえでの一助として活用されることをお奨めします。

(※)
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」とは
電子商取引、情報財取引等をめぐる現行法の解釈の指針となるもの。
電子商取引、情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめとする関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることで、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、学識経験者、関係省庁、消費者、経済界などの協力を得て、経済産業省により平成14年3月に策定された。
電子商取引、情報財取引等をめぐる取引の実務、それに関する技術の動向、国際的なルール整備の状況に応じて、今後も柔軟に改訂していく予定。


《参考資料》
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」について
http://www.meti.go.jp/press/2012/11/20121120001/20121120001-2.pdf

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(本文)
http://www.meti.go.jp/press/2012/11/20121120001/20121120001-3.pdf


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posted by Fides at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正・違反情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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