2012年12月19日

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。利用規約変更への黙示の同意があったと認められる条件は?(平成24年11月 経済産業省)

経済産業省で、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則(※)」の9回目の改訂が実施され、11月20日に公表されました。

今回の主な改定内容は、以下の7項目です。

-------------
【1】 ウェブサイトの利用規約の契約への組入れと有効性に関する論点の修正
【2】 なりすましによる意思表示となりすまされた本人への効果帰属に関する論点の追加・修正
【3】共同購入クーポンをめぐる法律問題に関する論点の追加
【4】 情報財の取引等に関する論点の修正
【5】 当事者による契約締結行為が存在しないライセンス契約の成立に関する論点の追加
【6】 外国判決、外国仲裁判断の承認、執行に関する論点の追加
【7】法改正、新たな裁判例の対応、その他軽微な修正
----------------------

上記改訂の中で、特に物販ネット通販で気になる【1】【2】【3】の項目について、今回は【1】【2】、次回は【3】をご紹介します。

【1】 ウェブサイトの利用規約の有効性に関する論点の修正
◆サイト利用規約の組入の前提となる契約の類型が、取引実態を踏まえて整理され記述された。
@インターネット通販等の単発の取引についての契約
Aインターネットモール等の複数の単発取引について適用される基本契約
BSNS等の継続的な取引やサービスについての契約

◆利用規約の変更について、利用者による明示的な変更への同意がなくとも、所定の条件を満たせば変更への黙示の同意があったと認められる場合があることを記述。

必ずしも利用規約への同意クリックの仕組みが無くても、変更された利用規約の内容が契約に組み入れられる場合がある。
変更の告知により、利用者が少なくともサイト利用規約に何らかの変更がなされる事実を認識しているであろうと認定できること、及び利用者に対して変更内容が適切に開示されていることが必要となる 。
黙示の同意があったと認められるための考慮要素:
例)
@)変更が一般の利用者に合理的に予測可能な範囲内であるか否か
A)変更が一般の利用者に影響を及ぼす程度
B)法令の変更への対応、悪意の利用者による不正やトラブルへの対応、条項・文言の整理など、一般の利用者であれば当然同意するであろう内容であるか否か
C)変更がサービスの改良や新サービスの提供など利用者にもメリットのあるものであるか否か

【2】 なりすましによる意思表示となりすまされた本人への効果帰属に関する論点の追加・修正
◆クレジットカード利用者のリスク分担を明らかにした。

クレジットカード会員は、なりすましによるクレジットカード決済の支払又は賠償義務を負わないこととなっているが、@からCの場合には、クレジットカード会員規約上、クレジットカード会員が責任を負う。
@善良なる管理者の注意をもってクレジットカード及びクレジットカード情報を管理する義務に違反したとき
Aクレジットカードの紛失・盗難に遭った後、速やかに届け出る等の措置を行わなかった場合
Bクレジットカード会員の家族、同居人等の不正行為であるとき
Cクレジットカード会員の故意又は重過失のために不正行為が生じたとき

-------

【3】共同購入クーポンをめぐる法律問題に関する論点の追加 については、次回ご紹介します。

(※)
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」とは
電子商取引、情報財取引等をめぐる現行法の解釈の指針となるもの。
電子商取引、情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめとする関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることで、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、学識経験者、関係省庁、消費者、経済界などの協力を得て、経済産業省により平成14年3月に策定された。
電子商取引、情報財取引等をめぐる取引の実務、それに関する技術の動向、国際的なルール整備の状況に応じて、今後も柔軟に改訂していく予定。


《参考資料》
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」について
http://www.meti.go.jp/press/2012/11/20121120001/20121120001-2.pdf

「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(本文)
http://www.meti.go.jp/press/2012/11/20121120001/20121120001-3.pdf


======================================
◆法令遵守チェック&コピーライティング◆
消費生活アドバイザーが、ネット通販の各種法律違反となる可能性
の高い表示・表現をチェック。顧客視点で、わかりやすく、親切で、
魅力的な広告を制作します。
http://www.fides-cd.co.jp/category/pub01/
======================================

------------------------------------------------------------
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
「ネットショップ おもてなし作法」として、本ブログの
1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。(毎週金曜日配信)
 登録はこちら
------------------------------------------------------------
-------------------------------------------------
fidesロゴ2.jpg  ネットショップの信頼性をカタチにします
  ECコミュニケーションデザイン フィデス
         http://www.fides-cd.co.jp

        *このサイトのご利用に際して
-------------------------------------------------
posted by Fides at 19:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正・違反情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック