2012年11月28日

通信関連サービスに関する消費者相談の状況と、「広告表示に関する自主基準及びガイドライン」

前回の記事では、イー・アクセスの提供する高速データ通信「LTE」サービスに関する景品表示法の優良誤認措置命令を取り上げました。

11 月13 日に開催された第104回 消費者委員会では、「電気通信事業者の販売方法に係る消費者問題について」が議題の一つに挙がっており、関心が高まっています。

今回の記事では、通信関連サービスに関する消費者相談の状況(※1)と、電気通信サービス向上推進協議会により策定された業界の自主ルールである「電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン」(※2)を紹介します。

●年々増加しているモバイルデータ通信に関する相談件数
国センに寄せられた相談内容では、主に契約に関するものとして、「解約全般」が目立ち、販売方法に関するものとして、「説明不足」が目立っている。

モバイルデータ通信に関する相談件数モバイルデータ通信相談件数.png
※2012 年10 月31 日までのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム) 登録分モバイルデータ通信相談内容.png
※割合は、2012 年度のサービスごとの総件数を100 とした値。


●電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン(第8版)
電気通信サービス向上推進協議会により策定された業界の自主ルールである「電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン」は、平成16年の初版から平成24年4月で第8版となっています。

このガイドラインでは、以下の内容について適切な表示や不適切な表示の事例を交えて、解説されています。
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●電気通信サービスの広告表示に関する通則
第4 条(基本的な遵守事項)
第5 条(分かりやすい広告表示)
第6 条(虚偽、誇大等の表現を用いない広告表示)
第7 条(比較表示)
第8 条(料金等に関する広告表示)
第9 条(無料又は割引キャンペーンに関する広告表示)
第10 条(提供開始までの期間に関する広告表示)
第11 条(サポート体制に関する広告表示)
第12 条(用語に関する注意事項)

●各種電気通信サービスの広告表示に関する基準
第13 条(「ベストエフォート型サービス」の用語に関する広告表示)
第14 条(「ベストエフォート型サービス」の速度に関する広告表示)
第15 条(IP電話サービスの料金に関する広告表示)
第16 条(IP電話サービスの品質に関する広告表示)
第17 条(IP電話サービスの通話可能な範囲に関する広告表示)
第18 条(携帯電話・PHS・BWA サービスの料金等に関する広告表示)
第19 条(携帯電話・PHS・BWA サービスの提供エリアに関する広告表示)
第20 条(モバイルデータ通信サービス等の速度、料金、提供エリアその他に関する広告表示)
第21 条(携帯電話等移動体通信端末に関する広告表示)

●雑則
第22 条(広告媒体ごとの留意事項)
第23 条(契約代理店による広告表示の適正化)
※「ベストエフォート型サービス」とは、ADSLサービス、CATVインターネット接続サービス、FTTHサービス、携帯電話のパケット通信、PHSのパケット通信、BWAのパケット通信その他の電気通信サービスであって、通信速度等、品質が通信環境によって変化し得るサービスをいう。
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今回、イー・アクセスの景品表示法違反で対象となったのは、モバイルデータ通信サービスですが、第20 条で(モバイルデータ通信サービス等の速度、料金、提供エリアその他に関する広告表示)について、次のように規定しています。

電気通信事業者は、モバイルデータ通信サービス等の広告においては、「ベストエフォート型サービス」の用語・速度に関する広告表示、携帯電話・PHS・BWAサービスの料金等・提供エリアに関する広告表示に規定する事項のほか、以下の事項について、利用者にわかりやすい表現を用いて広告表示を行う。

・利用方法によっては、パケット通信量が多くなり、高額な通信料金となる可能性があることおよび回避するための推奨方法。
・帯域制御を実施する場合、どのような場合に制御を実施するのか、制御する場合にはその具体的方法(特定のアプリケーションを制御するのか、特定のヘビーユーザの利用を制御するのか等の制御の対象と、制御対象となる具体的なアプリケーションやトラヒック量等の制御の条件等)。

・別途必要となるプロバイダー契約等がある場合、具体的な内容。

また、第22 条(広告媒体ごとの留意事項)では、インターネット媒体による広告表示について、次のように規定しています。

・常に最新の内容を正確に表示するよう、特に配慮するものとする。
・リンク先に重要な情報を表示するときは、当該リンクの文字列に、リンク先の表示内容が明確になるような表現を用いるほか、リンクの文字列の文字の大きさや配色等に配慮し明瞭に表示されていること。


総務省では契約締結前の広告表示について、「一定の効果が出てきている」と評価する一方、勧誘や契約締結・解除に関しては、業界を挙げた自主的取組強化を求めています。

(※1)
第104回 消費者委員会(2012年11月13日)
【資料4】 通信関連サービスに関する相談の状況について(国民生活センター提出資料)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2012/104/doc/104_121113_shiryou4.pdf

(※2)
電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン(第8版)
(平成24年4月)
http://www.soumu.go.jp/main_content/000154248.pdf

≪関連記事≫
・高速データ通信「LTE」イー・アクセスに優良誤認措置命令
(平成24年11月) 
http://blog.fides-cd.co.jp/article/303818039.html

・「ニフティ」比較広告、価格表示に景表法措置命令。差別化しにくい商材の落とし穴
(平成24年6月) 
http://blog.fides-cd.co.jp/article/274595456.html

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