今回、行動ターゲティング広告の一種であるヤフーの新メール広告導入を巡る、国の規制動向を取り上げてみました。
ヤフーが8月1日から開始する予定のメール内広告について、川端達夫総務相は10月19日の閣議後の記者会見で、新広告の導入を容認しました。（※2）
■Yahoo!メールでの表示例
※2回クリックすると拡大します。
この新広告は、メールの内容をサーバーが解析してユーザーの興味に合う広告を自動で配信するというもので、総務省が6月26日の閣議後の記者会見（※1）で、電気通信事業法の「通信の秘密」の侵害やプライバシーの侵害にあたる可能性があるかを調査する見解を示し、開始が遅れていました。
新広告の導入することについて、総務省が「許容範囲にあるとの結論に至った」4つのポイントを公表しています。（※3）
（1）通信の秘密の侵害の意味・内容を利用者が正しく理解できるための情報を出す。
本件新広告サービスを利用することに伴い同意することとなる、本サービスにおけるメール解析という通信の秘密の侵害の意味・内容を利用者が正しく理解できるための情報として、例えば解析の目的、方法、時期、対象範囲、第三者提供をしないこと等が利用者においてあらかじめ明確に認識できるよう、メールトップページのスクロールせずに見ることができる位置に分かりやすく表示されること。
（2）メール本文等の解析を望まない利用者への対応をとる。
メール本文等の解析を望まない利用者への対応として、いつでも解析を中止することができる旨及びその方法について、メールトップページのスクロールせずに見ることができる位置及びそのリンク先に分かりやすく表示されること。
（3）サービス利用開始後、いつでも本サービスの存在を認識し、解析を中止することができる。
サービス利用開始後もいつでも本サービスの存在を認識し、解析を中止することができるよう、2度目以降も、トップページや受信箱ページにおいて、メール本文とタイトルが解析される旨及びいつでも解析を中止することができる旨及びその方法が、分かり易い位置に表示されること。
（4）メールの本文等の解析自体は、受信箱ページ等に並んだ個々のメールの件名等をクリックする行為に基づいて開始される。メールが着いたら自動的にやるのではなくて、見るときに開始される。
■Yahoo!メールでの注意喚起表示
※2回クリックすると拡大します。
また、川端総務相は、会見で以下のコメントをしています。
・ 同様のサービスを提供する電気通信事業者がある場合には、少なくとも本件と同様の対応が必要であると考えられる。
・ 海外事業者であっても、我が国の利用者を対象に提供する場合には、同様の対応を自主的にとるが望まれる。
国内では既にグーグルが「Ｇメール」で同様の取り組みを行っていますが、国内サーバーではないことから国内法の適用でないとされていることについて、見解を示したといえます。
（※1）
川端総務大臣閣議後記者会見の概要（総務省 平成24年6月26日）
http://www.soumu.go.jp/menu_news/kaiken/01koho01_02000062.html
（※2）
川端総務大臣閣議後記者会見の概要（総務省 平成24年9月19日）
http://www.soumu.go.jp/main_content/000177900.pdf
（※3）
ヤフー株式会社における新広告サービスについて
（総務省 平成24年9月27日）
http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu02_000122.html
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