2012年09月07日

「冷却ベルト」で優良誤認の措置命令。商品効能効果の適切な実証方法を

ドクターシーラボ、健康コーポレーションに続き、景品表示法措置命令が活発です。

9月6日、消費者庁は「冷却ベルト」(冷凍庫で凍結させた上で人が首に巻いて冷却・冷感効果を得るための商品)を販売する、家庭日用品の製造販売事業者3社(桐灰化学(株)、(株)ケンユー、(株)白元)に対し、景品表示法(優良誤認)の措置命令を行いました。

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冷却ベルト販売業者3社に対する景品表示法に基づく措置命令について
 (消費者庁の関連PDF)
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/120906premiums_1.pdf
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3社は、商品パッケージにおいて、推奨する使用環境等を記載した上で効果持続時間を表示していましたが、実際には、推奨する使用環境における効果持続時間は、表示した効果持続時間を相当程度下回るものであると、消費者庁及び公正取引委員会の調査の結果を踏まえ、優良誤認に該当すると認められました。

NHKの報道によると、「3つの商品は、消費者などからの指摘を受けて、今年4月までに表示が変更されているが、それ以前に、全国で合わせておよそ60万個が販売され、現在も在庫が残っている可能性があることから、3社に対し、表示が不当だったことを消費者に周知するとともに、再発防止策をとるよう命じた。」ということです。
大手企業による不当表示の、消費者や業界に対する影響力の大きさが考慮されていることが伺えます。

問題となった具体的な内容は次のとおりです。

◆桐灰化学
商品パッケージ記載内容:
「気温が31℃を越えたら暑さに厳重注意!! 真夏日には 熱中対策首もと氷ベルト」及び「屋内の家事に スポーツ・レジャーに」と記載した上で、「カチコチに凍って、冷たさ長持ち 約120分冷却 ※使用状況により変わることがあります」と記載していた。

行政による試験:
夏季の晴天時に人が装着して、屋外で軽い運動を行った場合の本件商品の効果持続時間は、人を対象とした試験においては平均で約66分、サーマルマネキンを対象とした試験においては平均で約63分であり、120分を相当程度下回ると認められるものであった。

桐灰化学による試験:
気温摂氏31度の室内で本件商品を人が装着して、静止した状態で行った試験の結果に基づいて、本件商品の効果持続時間を表示していた。

◆ケンユー
商品パッケージ記載内容:
「用途例 炎天下の作業に暑い屋内での作業に スポーツ・レジャーに」と記載した上で、「●猛暑炎天下、首筋に心地よい冷感を与えます。 ●氷結するジェル袋は保冷時間が長く約2時間30分冷感を持続します(使用状況等により冷感時間は異なる場合があります)。」と記載していた。

行政による試験:
夏季の晴天時に人が装着して、屋外で軽い運動を行った場合の本件商品の効果持続時間は、人を対象とした試験においては平均で約1時間49分、サーマルマネキンを対象とした試験においては平均で約1時間45分であり、2時間30分を相当程度下回ると認められるものであった。

ケンユーによる試験:
人が装着した状態での試験ではなく、気温摂氏27度の室内で本件商品を電気アンカの上に置いて行った試験の結果に基づいて、本件商品の効果持続時間を表示していた。

◆白元
商品パッケージ記載内容:
「●冷たさは約90分持続します。(室温35℃で20℃以下を保持する時間)(外気温や使用環境により持続時間は異なります。)」と記載していた。

行政による試験:
気温摂氏35度の室内で本件商品を人が装着した状態で、本件商品の表面温度が摂氏20度を超えるまでの時間は、人を対象とした試験においては平均で約68分、サーマルマネキンを対象とした試験においては平均で約71分であり、90分を相当程度下回ると認められるものであった。

白元による試験:
人が装着した状態での試験ではなく、気温摂氏35度の室内で本件商品を木の板の上に置いて行った試験の結果に基づいて、本件商品の効果持続時間を表示していた。
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今年の7月、東京都が家電メーカー4社に対して、イオン機能付きドライヤーの実証試験について改善要請を出しました。(※1)

上記事案同様、今回の「冷却ベルト」の事案からも、効能効果の適切な実証方法のポイントが理解できると思います。

通販事業者の皆様は、メーカーや卸から仕入れ商材の商品情報を得る際に、広告・表示の根拠となる客観的事実を確認するとともに、性能又は効能効果の裏づけとなり得る適切な試験方法、試験条件、サンプル数等による実証が行われているか、よく検証しましょう。

(※1)
景品表示法上の表示の裏付けとなる「合理的な根拠」。新機能製品は特に注意を
http://blog.fides-cd.co.jp/article/283007570.html

≪関連記事≫
・サニーヘルス化粧品の抗シワ効果表示。表示の裏付けとなる「合理的な根拠」の判断基準とは   
http://blog.fides-cd.co.jp/article/282698680.html

・景品表示法不実証広告規制。(株)リソウ 美容効果を標ぼうする化粧品の表示に措置命令(消費者庁:平成24年3月8日)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/256606470.html


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posted by Fides at 16:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正・違反情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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