2018年09月20日

求められる仕入れ先の商品管理体制。恒づねの和牛表示に景表法措置命令

9月11日、大阪府は枚方市の飲食業等を営む(株)恒づねに対し、景品表示法違反の措置命令を行いました。同社が自ら運営する店舗で提供しているディナーの牛肉メニューと、「楽天市場」で販売していた牛肉の表示について、優良誤認表示とみなされました。
大阪府による措置命令は、今年4月のイオンリテール(株)に対する新聞折り込みチラシのタイムセールの価格表示の事案に次いで2件目となっています。

本件では、商品仕入れ先に対する品質管理の甘さが問題となっています。
処分のポイントについて確認します。

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株式会社恒づねに対する景品表示法に基づく措置命令について
 (大阪府 平成30年9月11日)
http://www.pref.osaka.lg.jp/shouhi/syobun/keihyosochimeirei2.html
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●違反概要
【対象役務】

ステーキカッポー恒づね ディナーメニュー
・ディナーコースメニュー
・プレミアム・ステーキセット

「ステーキカッポー恒づね」 対象役務(ディナーメニュー)一覧 http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/3497/00300222/beppyou1.pdf

【表示媒体・期間】
店舗メニュー 平成29年7月4日から平成30年5月22日
店舗などで配布するリーフレット 平成29年7月4日から平成30年5月10日
店舗を紹介する自社ウェブサイト 平成29年7月4日から平成30年5月10日

【違反内容】
表示内容:

「ディナーの牛肉は融点温度の低い雌牛のみを使用しています」と記載し、あたかもディナーで提供されるすべての料理に雌牛を使用するかのように表示していた。

実際:
同社が本件メニューにおいて主として使用する牛肉の内、「和牛ヒレ」については約66%、「和牛サーロイン」については約44%が雄牛(去勢牛)であった。
また、ランチ料理で主として使用するが、対象メニューにおいても一部において使用する「国産牛ヒレ」については、約99%が雄牛(去勢牛)であった。
大阪府が、当該期間の同社の仕入伝票の提出を受けて検証したところ、記載された個体識別番号により、前述のとおりの比率であることが確認された。

同社は、平成29年7月に店舗メニュー等を改定するに当たり、ディナーで使用する牛肉の内、メイン料理で使用する和牛(ヒレ及びサーロイン)についてだけ、「雌牛のみ」と表示することを意図し、仕入業者に対し和牛を雌牛のみで確保するよう口頭で依頼し、上記店舗メニュー等に表示を行った。
国産牛ヒレについては、雌牛のみとは考えていなかったとするが、店舗メニュー等においては、和牛と国産牛を区別し、和牛に限定するような表示を行っていなかった。

【違反表示例】
恒づね_メニュー.png

【対象商品】
恒づね牛ギフト 楽天ONLINE SHOPにおける「恒づね牛」の名称を冠した商品

「恒づね牛ギフト 楽天 ONLINE SHOP」における対象商品の表示内容
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/3497/00300222/beppyou2.pdf

【表示媒体・期間】
楽天市場ECサイト 平成27年11月24日から平成30年1月25日
※平成30年1月25日に商品名等からこれら「A5ランク」等の表示を削除して以降も、平成30年8月13日に至るまで、本件商品の個別紹介ページ下部に表示される別の商品画像の代替テキストに「A5ランク」の文字を埋め込んだままにしており、引き続き一般消費者を誘引する状態にしていた。

【違反内容】
表示内容:

商品名等に「恒づねA5和牛」、「最上級A5ランク」、「A5ランク霜降り和牛」などと表示していた。

実際:
本件商品を仕入業者から購入する際に、牛肉の格付けを確認しておらず、本件商品がA5ランクであることの裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を示すことができなかった。

同社は、平成27年11月に楽天市場に出店するに当たり、本件商品の商品名等に「A5ランク」等と表示することを意図し、仕入業者に対しA5ランクの精肉を確保するよう口頭で依頼し、上記のとおり商品名等に「A5ランク」等の表示を行った。

牛肉は、と畜・解体され枝肉になった時点で、大半において格付けが行われており、個体が特定されれば、関係先に調査を行うことで格付けを裏付けることが可能である。ところが、恒づねは、仕入業者から本件商品に使用する牛の個体識別番号の伝達を受けておらず、仕入業者においても記録されていなかった。これらのことから、本件商品に使用された牛を特定することができず、遡ってその格付けを裏付けることが不可能であった。
また、仕入業者は、そもそも仕入の際に牛肉の格付けを確認しておらず、大阪府が、仕入業者から期間と部位を特定して提出を受けた資料により、仕入状況と出荷状況、格付けを照合した結果、本件商品にA5ランク以外の精肉が混入していたことが認められた。

【違反表示例】
恒づね_楽天.png

本事案では、恒づねは商品を仕入れ業者から購入する際に、牛肉の品質について口頭での指示を行うのみで、実際の仕入れ内容の確認を怠っており、表示の根拠となる情報を記録し、保存していなかった点が問題となりました。

同社は処分が公表された11日に謝罪文を発表し、「府より受けた指摘を真摯に受け止め、今後、適正な表記を徹底するよう、再発防止に取り組む」としています。しかし、再発防止体制の整備としては「弊社の景品表示法に関する対応力の整備等、広告表示物に関する管理体制を一層強化」と記されているのみで、具体的な防止策は示されていません。
また、返金対応にも言及されていません。
恒づね_お詫び.png


(株)恒づね 「弊社に対する措置命令に関するお詫びとお知らせ」
http://www.tsunezune.com/info


景表法の措置命令は故意、過失を問わない無過失責任となっています。
仮に仕入れ先の商品品質管理が適切でなかった場合でも、気づかずに優良誤認表示を行ってしまい措置命令を受けるリスクがあります。
また、措置命令とセットとなる課徴金納付命令についても、事業者が講ずべき広告表示の適正管理を怠っていた場合、課徴金の対象外と認められる要件である、違反表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき「相当の注意を怠った者でない」と認められない可能性が高いでしょう。
課徴金の減額につながる返金措置も、、積極的に検討すべきでしょう。

商品や原材料の調達段階においては、調達する商品・原材料等の仕様、規格と、表示内容を対応させながら確認するとともに、表示の根拠となる情報を記録し、保存しておくことが重要です。



《参考記事》
・キリンシティの料理メニューに景表法措置命令。製造委託、仕入れ商品の誤表示に注意!
(消費者庁: 平成30年6月13日)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/460077356.html

・景表法改正 事業者が講ずべき広告表示の適正管理の指針案(消費者庁)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/404152189.html

・景表法改正、広告表示の適正管理のための7つのポイン+1
http://blog.fides-cd.co.jp/article/404419627.html

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posted by Fides at 20:40| Comment(0) | 法改正・違反情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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