2018年09月01日

AIスピーカーでの誤発注はキャンセルされるのか?「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。(経済産業省 平成30年7月)

経済産業省で、「電子商取引及び情報財取引等に関する準則(※)」の15回目の改訂が実施され、7月27日に公表されました。

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「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂しました
(経済産業省 平成30年7月27日)
http://www.meti.go.jp/press/2018/07/20180727001/20180727001.html
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今回の主な改定内容は、以下の項目です。
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1.取引環境の変化に応じた改訂
I-10 AIスピーカーを利用した電子商取引(新規)
I-10-1 AIスピーカーが音声を誤認識した場合(新規)
I-10-2 AIスピーカーに対して発注者が言い間違いをした場合(新規)
III-14 ブロックチェーン技術を用いた価値移転(新規)
IV-7 国境を越えた取引に関する製品安全関係法の適用範囲(新規)

2. 特定商取引法施行規則改正等に伴う改訂
I-2-4 自動継続条項と消費者契約法第10条等
II-4-2 特定商取引法による通信販売に係る広告規制

3. 論点の削除
I-1-3 インターネット通販における分かりやすい申込画面の設定義務(消費者庁のガイドラインを参照しているのみであるため、削除)

4.その他(論点の分割、用語の統一、新規判例に伴う改訂等)
I-1-2 消費者の操作ミスによる錯誤(消費者庁のガイドラインへの参照を追記)
I-7-1 ユーザー間取引に関するサービス運営事業者の責任(ユーザー間取引にフリマサービスを含むことを明確化)
II-6イ ンターネット上への商品情報の掲示と商標権侵害(ユーザー間取引にフリマサービスを含むことを明確化)
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上記改訂の中で、特にAIスピーカーを使ったネット通販に関する論点と、越境ECでの製品安全関係法の適用、FAX広告規制について紹介します。

I-10-1 AIスピーカーが音声を誤認識した場合(新規)
AI スピーカーが発注者の発言がないのに誤って音声を認識し、発注処理をした場合、ユーザにどのような救済が与えられるか。
(AI スピーカーを提供する事業者と、AI スピーカーを介して受注サービスを提供する事業者は同一の場合)

(例)
・AI スピーカーがテレビのドラマ中での AI スピーカーを使った発注の場面の音を拾って注文してしまった。
・幼児が母親にお菓子をねだっている音声をお菓子の発注と誤認識して注文してしまった。

考え方
発注者が実際には注文を行っていないケースでは、法律行為としての注文の意思表示はなかったと解釈されるので、AI スピーカーを通じた契約は成立していない。

事業者が取り得る対策
契約が成立しない事態を防ぐために、AI スピーカーが認識した注文内容をユーザーに通知し、ユーザーから確認が得られた場合に注文を確定するという確認措置を講じることが有用である。
(例えば AI スピーカーが発する音声、AI スピーカーと連動するウェブサイトやスマートフォンのアプリ、電子メールなどを通じての通知が考えられる。)

注文内容をユーザーに通知し、一定期間内に回答がない場合に有効な注文とみなす仕組みは、消費者契約法第10条の「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」により無効となる可能性あり。

I-10-2 AIスピーカーに対して発注者が言い間違いをした場合(新規)
発注者が AI スピーカーで音声発注をしようとして、うっかり言い間違えをしてしまったため、発注者の意図と異なる物品が発注された場合に、発注者にどのような救済が与えられるのか。
(AI スピーカーを提供する事業者と、AI スピーカーを介して受注サービスを提供する事業者は同一の場合)

(例)
・「タイヤ」を注文しようとして「ダイヤ」と言ってしまった。
・子供が好きなキャラクターのおもちゃを注文しようとしたら、記憶間違いで似たような名前の全く別のキャラクターのおもちゃを注文してしまった。

考え方
設例のような発注者側の言い間違えの場合には、注文が無効になる。
発注者による注文の意思表示は存在しているが、表示上の錯誤(言い間違え)があるので、発注者は、民法第 95 条本文(「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。」)に該当し、
契約は無効であると主張することが可能である。
但し、発注者に重過失がある場合には、発注者から錯誤を主張することはできない。
(なお、AI スピーカーによる発注には、電子契約法の適用はない。)

発注者に重過失があると認定される可能性
発注が完了する前に発注内容に誤りがないかを確認する確認措置が組み込まれている場合には、確認措置にもかかわらず錯誤を訂正せずに発注した発注者には、重過失があると認定される可能性がある。
(AI スピーカーが認識した注文内容を、例えば AI スピーカーが発する音声、AI スピーカーと連動するウェブサイトやスマートフォンのアプリ、電子メールなどを通じてユーザーに通知し、ユーザーから確認が得られた場合に注文を確定する措置)

一般的に言い間違えは誰にでも生じ得ることから、一度の言い間違えでそのまま発注がなされてしまうような発注システムであれば、言い間違えに重過失があるとされる可能性は低い。

IV-7 国境を越えた取引に関する製品安全関係法の適用範囲(新規)
技術基準に適合した製品であることを示すPSマークの表示がない製品を国内で流通させる行為については、これが国内事業者によるものであっても海外事業者によるものであっても、製品安全関係法の適用がある。
国内の販売事業者が製品を輸出する場合には、原則として同法の適用対象とならない。
ただし、輸出先の海外事業者が日本国内に向けて流通させることを知って、当該海外事業者に製品を販売する場合には、同法の適用対象となる。

FAX広告の相手方の承認・請求記録保持期間は1年間
特定商取引法施行規則改正によって無許可でのファックス広告が禁止されたことを受け、「II-4-2 特定商取引法による通信販売に係る広告規制」に未承諾のファクシミリ広告の提供の禁止事項について追加されています。電子メール広告と、ほぼ同じ規制内容となりますが、相手方の承諾を得、又は相手方から請求を受けたことの記録についてのみ、電子メール広告が3年間なのに対し、ファックス広告は1年間保存となっています。


経産省では、準則について、電子商取引、情報財取引等をめぐる取引の実務、それに関する技術の動向、国際的なルール整備の状況に応じて、今後も柔軟に改訂していく予定。
改訂に向けた事業者からの意見を随時受け付けています。

【意見送付先】
住所:〒100−8901
東京都千代田区霞が関 1−3−1
経済産業省商務情報政策局情報経済課
FAX 番号:03−3501−6639
電子メールアドレス:ecip-rule@meti.go.jp
※件名は「電子商取引及び情報財取引等に関する準則についての意見」としてお送りください。

(※)
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」とは
電子商取引、情報財取引等をめぐる現行法の解釈の指針となるもの。
電子商取引、情報財取引等に関する様々な法的問題点について、民法をはじめとする関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることで、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、学識経験者、関係省庁、消費者、経済界などの協力を得て、経済産業省により平成14年3月に策定された。


≪関連記事≫
・お試し価格を設定して定期購入契約を行う際の注意ポイント「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。(経済産業省 平成29年6月)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/450794084.html

・未成年者の「詐術」の判断基準「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。
(平成26年8月 経済産業省)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/408432125.html

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