2017年08月01日

健康食品の健康被害と商品名公表(東京都 平成28年度「『危害』の消費生活相談の概要」)

先日の記事でもご紹介したように、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品で健康被害問題に対して、国センが商品テストを行い、それを受け、厚労省が消費者庁や自治体と連携し、プエラリア・ミリフィカを取り扱う事業者の監視指導、調査に乗り出しています。

健康食品の危害情報にまつわる事件としては、「目のピント調節」をうたう機能性表示食品が原因と疑われる重篤な健康被害の事例が、今年4月に東京都の平成28年度の「『危害』の消費生活相談の概要」(※)で公表されたとして物議をかもしています。
※「危害」とは、商品・役務・設備に関して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという相談。

今回は、都内の消費生活センターに寄せられた「危害」の相談の全体傾向と相談上位の薬事関連商品(「健康食品」「基礎化粧品」「頭髪用化粧品」)について確認しながら、健康食品の健康被害に対する消費者団体や行政の対応方針についてチェックしてみます。

●「危害」の相談、平成28年度上半期は件数増加
平成28年度上半期の「危害」に関する相談件数は前年同期比10.1%増の980件に上った。
相談は常時1,700件以上寄せられている。
平成25年度は2,000件以上の相談が寄せられたが、平成26年度、27年度は減少傾向だった。
東京都危害相談件数 (28年度).png
※東京都消費生活総合センター及び都内区市町村の消費生活相談窓口に寄せられた相談情報PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)を用いて分析したもの。
・分析項目 :「危害」の相談
•分析データ:平成24年 4 月〜平成 28 年9月受付の相談データ
(平成29年2月28日現在の登録データで全期間の分析を行う。なお、データの内容精査等により、今後、集計値が変動する場合がある。


●健康食品の「危害」相談が急増
平成28年度上半期の「危害」の相談を商品・サービス別に見ると、1位が「健康食品」(158件)、2位が「美容医療」(65件)、3位が「エステティックサービス」(54件)。「健康食品」は27年度から急増、28年度は上半期だけで既に27年度通期の130件を上回った。
東京都危害相談商品別 (28年度).png

●50歳代以上で健康食品の「危害」相談高まる
24年度〜28年度上半期までに寄せられた相談を年代別で見ると、20〜40歳代で「美容医療」や「エステティックサービス」、50〜80歳代で「健康食品」や「基礎化粧品」の相談が上位に上がる傾向がみられた。
東京都危害相談年代・商品別 (28年度).png

●危害相談上位の薬事関連商品の相談内容
「危害」の相談上位の薬事関連商品(「健康食品」「基礎化粧品」「頭髪用化粧品」)について、「危害相談が占める割合(危害割合)」、「危害程度」、「危害内容」、「重篤な危害が生じた相談事例」を分析した。

健康食品:
・「危害割合」(「健康食品」に関する相談に占める「危害」相談の割合)は、8.7%。
(相談件数1,811件のうち危害相談件数158件)
東京都危害相談_健食1 (28年度).png


・「危害程度」は、「治療1カ月以上」が2件(1.3%)、「治療3週間〜1カ月」が6件(3.8%)、「治療1〜2週間」が4件(2.5%)、「治療1週間未満」が21件(13.3%)、「医者にかからず」が82件(51.9%)。
東京都危害相談_健食2 (28年度).png


・「危害内容」は、「消化器障害」が85件(53.8%)、「皮膚障害」が46件(29.1%)、「その他の傷病及び諸症状」が26件(16.5%)、「呼吸器障害」が1件(0.6%)。
東京都危害相談_健食3 (28年度).png


《相談事例([危害程度]1か月以上/[危害内容]消化器障害)》
友人から目に良いという機能性表示食品をもらい、朝と晩、半月ほど食用した。ところが、オレンジ色の尿が出たり、全身のかゆみ、全身のだるさとめまいの症状が出たので、内科医院で血液検査を受けると、肝臓検査値が異常に高いと言われた。「急性肝炎の疑い」と診断され、別の病院に緊急入院した。担当医の所見は薬物性肝炎とのことだった。
(被害者 40歳代/男性)

基礎化粧品:
・「危害割合」(「基礎化粧品」に関する相談に占める「危害」相談の割合)は、11%。
(相談件数355件のうち危害相談件数39件)
東京都危害相談_化粧品1 (28年度).png


・「危害程度」は、「治療1カ月以上」が1件(2.6%)、「治療3週間〜1カ月」が2件(5.1%)、「治療1〜2週間」が1件(2.6%)、「治療1週間未満」が8件(20.5%)、「医者にかからず」が12件(30.8%)。
東京都危害相談_化粧品2 (28年度).png


・「危害内容」は、「皮膚障害」が37件(94.9%)、「刺傷・切傷」が1件(2.6%)、「不明」が1件(2.6%)。
東京都危害相談_化粧品3(28年度).png

《相談事例([危害程度]1か月以上/[危害内容]皮膚障害)》
以前から同じブランドの化粧品を使用している。昨年秋頃、両目の下あたりに1cm強の大きさの白斑ができていることに気付いた。2~3年前からこのブランドの美白美容液を時々使用していたので、それが原因だと思う。2か月前、皮膚科を受診。受診後、販売店にこの件を申し出たが、使用を中止するように言われただけである。そこでメーカー本社お客様相談室にも電話したが、他の人には白斑は出ていないなどと言われた。
(被害者 60歳代/女性)


頭髪用化粧品:
・「危害割合」(「頭髪用化粧品」に関する相談に占める「危害」相談の割合)は、15.4%。
(相談件数91件のうち危害相談件数14件)
東京都危害相談_頭髪化粧品1 (28年度).png

・「危害程度」は、「治療1カ月以上」が2件(14.3%)、「「治療1週間未満」が2件(14.3%)、「医者にかからず」が7件(50.0%)、「不明」が3件(21.4%)。
東京都危害相談_頭髪化粧品2 (28年度).png


・「危害内容」は、「皮膚障害」が11件(78.6%)、「擦過傷・挫傷・打撲傷」が1件(7.1%)、「感覚機能の低下」が1件(7.1%)、「その他の傷病及び諸症状」が1件(7.1%)。
東京都危害相談_頭髪化粧品3(28年度).png

《相談事例([危害程度]1か月以上/[危害内容]皮膚障害)》
友人から「植物で毛染めをしないか」と誘われ、一緒にサロンへ出向いた。サロンで粉末
染料を購入した。当該染料を使うのは初めてなので、パッチテストを勧められたが、「結果がわかるまで2日かかる」と聞いたので受けなかった。塗布後、40分間放置して洗髪後に別の染料を塗ってもらった。翌日の夜、洗髪するとお湯が茶色く染まり、その後顔が赤くほてりだし、その翌朝には顔が真っ赤に腫れあがった。皮膚科で塗り薬と抗生物質を処方され、医師から「血液検査の結果、植物アレルギーがあることがわかった。植物性の染料は使わない方がよい」と言われた。
(被害者 80歳代/女性)


都が危害相談事例として公表した「目のピント調節」をうたう機能性表示食品が原因と疑われる重篤な健康被害に対し、消費者団体「食の安全監視市民委員会」が4月21日付で、届出企業4社((株)ファンケル、富士化学工業(株)、世田谷自然食品(株)、協同薬品工業(株))と東京都、消費者庁に対し、公開質問状を送付しました。

世田谷自然食品と協同薬品工業は、事例のような「袋入り」の商品を販売していないことから、自社商品による事例ではないと回答。富士化学工業は、被害者からも行政機関からも事例に関する連絡を受けておらず、自社商品による事例かどうかを確認していないと説明。ファンケルも、自社商品との関連を確認していないとしています。
その後、ファンケルは7月18日に消費者庁の記者クラブにおいて『えんきん』と健康被害の因果関係を否定する会見を行いました。

他方、東京都消費生活総合センターは、
「相談事例は相談者から寄せられた相談情報がもととなっており、商品と健康被害の因果関係等が立証されておらず、商品名をお答えできません」と回答。
消費者庁は、
「消費者庁として事故原因等を確定した場合を除いて、個別具体的な健康被害情報の有無及びその内容の御質問については回答を差し控えさせていただいております。」と回答しています。

消費者庁は当該事件について平成28年12月21日に都から重大事故であるとの通知を受理し、本年1月6日重大事故として公表していました。
しかし公表された重大事故情報においては「目のピント調節の機能性表示食品」の文言はなく「当該健康食品」とのみの記載であり、4月に東京都から公表された事例と同一であることが分からなくなっています。

◆消費者安全法の重大事故等に係る公表について
(消費者庁 平成29年1月6日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/170106kouhyou_2.pdf

7月19日に行われた岡村消費者庁長官記者会見において、消費者庁の方針を以下のように説明しています。
「生命身体の被害に関する情報については積極的な公表を心がけており、必要だと認めるときは製品が特定するような形で公表することもある。
ただし、一般には因果関係が明確でない場合や緊急・重大という形で報告する必要がないと判断している場合においては、個別の製品名、製造者などが特定できるような公表はしていない」

今回のプエラリアの健康被害も「目のピント調節」の機能性表示食品の問題も、商品と健康被害の因果関係等が立証されているものではありません。

しかし、プエラリアを取り扱う事業者に対する監視指導の留意事項として、
「健康食品の健康被害については、一般的に因果関係を特定することが容易ではない。そのため、事業者に対して、因果関係が不明な事例も含めて、幅広く報告を求めること。」
として、今後の対応に含みを持たせています。



◆「目のピント調節」の機能性表示食品で重篤な健康被害〜東京都
 (健康情報ニュース.com  平成29年4月11日)
 http://xn--zck9awe6d372qg1j87ki4d.com/290411_dm1248-2/

◆食の安全・監視市民委員会
http://www.fswatch.org/
2017年4月21日:
目のピント調節の機能性表示食品による薬物性肝炎の事例についての公開質問状
2017年5月8日:
「目のピント調節の機能性表示食品による薬物性肝炎の事例についての公開質問状」への回答
(ファンケル、富士化学工業、世田谷自然食品、協同薬品工業、東京都消費生活総合センター、消費者庁)
2017年7月8日:
目のピント調節の機能性表示食品による健康被害事例に関する消費者庁の情報隠ぺいの疑いについての検証の要請(消費者委員会、消費者庁、ファンケル)

◆ファンケルが会見、『えんきん』と健康被害の因果関係を否定
 (健康情報ニュース.com  平成29年4月18日)
 http://xn--zck9awe6d372qg1j87ki4d.com/290718_dm1248-6/

◆岡村消費者庁長官記者会見要旨 (平成29年7月19日)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/170719c_kaiken.html

(※)
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平成28年度「危害」の消費生活相談の概要
(平成29年4月28日改訂 東京都)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/tokei/documents/theme_2904.pdf
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《関連記事》
・国セン、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品に注意喚起。厚労省、調査開始
(国民生活センター商品テスト 2017年7月)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/452177059.html

・広告媒体別の健康食品に関する消費者相談の傾向とは?(東京都 平成27年度)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/445540690.html


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