2013年11月20日

健康食品の虚偽・誇大広告規制。合理的根拠表示や、ステマ、口コミも要注意

健康食品の広告表示規制の最新動向です。
消費者庁が11月1日、「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(案)」(※1)を公表しました。

この留意事項案(ガイドライン案)の目的は、健康食品の広告に関する景品表示法と健康増進法違反(虚偽・誇大広告)への事業者の予見可能性と、監視執行の現場の執行力強化にあります。
現在パブリックコメントの募集中で12月1日(日)が締切日となっており、年内にもガイドラインをまとめる予定です。

今後の健康食品の虚偽・誇大広告規制の基本となる考え方を示しています。
しっかりチェックが必要です。
ポイントを整理しました。



●健康食品の虚偽・誇大広告に関する景品表示法及び健康増進法の両法の考え方を整理し、統一的な留意事項としてまとめた
今回のガイドライン作成の背景は、今年1月に消費者委員会から出された「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」を受けたもの。
2003年に厚生労働省の示したガイドラインを改善したもので、内容の基本的な考え方は変わっていない。
法律の考え方や違反の判断基準が明確ではなく分かりづらいとされてきた03年版に、違反の判断基準や具体的な表現例、違反事例を盛り込むことでより分かりやすくした。

8月に開催された消費者委員会での建議の実施状況報告(※2)によると、景品表示法及び健康増進法についての消費者庁(表示対策課、食品表示課)、各地方厚生局及び都道府県による平成21年~平成24年までの公表・指導事例を全て収集・分析。
都道府県担当者から表示の指針についてヒアリングし、それを踏まえて現場で監視指導を行なう担当者の意見を反映したものとなっている。

●景品表示法の「不実証広告規制」と健康増進法の規制対象「何人も」
ガイドライン案では、景品表示法と健康増進法の法執行強化のための連携を進めることを意図している。
その理由は、それぞれの法律の法体系の違いがあり、両法の強みを活かし、弱点を補完することで、効果的・効率的な違反表示の排除に繋げるものと考えられる。
両法の違いを確認すると以下のとおり。

≪規制の対象となる事業者≫
景品表示法:
「商品・サービスを供給する事業者」
→広告媒体を発行する事業者(出版社、広告代理店、放送局、ショッピングモール等)は、商品等供給主体に当たらない限り、規制の対象とならない。

健康増進法:
「何人も」
→「食品として販売する物に関して広告その他の表示をする者」であれば、食品の製造業者、販売業者等に限定されない。
例えば、新聞社、雑誌社、放送事業者等の広告媒体事業者、これら広告媒体事業者に対し広告の仲介・取次ぎをする広告代理店、プロモーションサービスプロパイダーも対象。

≪違反行為に対する措置≫
景品表示法:
「表示の裏付けとなる「合理的根拠」を示す資料を提出できないとき」

→執行側が立証しなくても不当表示とできる「みなし規定」(不実証広告規制)
措置命令(措置命令を行った際は公表する)
従わない場合、事業者の代表者等に対し、2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれらを併科。事業者に対し、3億円以下の罰金。

健康増進法:
「国民の健康の保持増進及び国民に対する正確な情報の伝達に重大な影響を与えるおそれがあると認めるとき」
例えば、
・表示されている健康保持増進効果に関する苦情が関係機関に数多く寄せられている場合
・当該食品を摂取した者が健康を害したとする苦情が関係機関に相当数寄せられている場合
・健康保持増進効果についての虚偽誇大広告により、診療を要する疾患を抱える者が適切な診療機会を逸してしまうおそれがある場合

→勧告・命令(勧告を行った際は公表する)
従わない場合は、6ヶ月以上の懲役又は100万円以下の罰金。

昨今のインターネット上の広告の複雑化や、誰もが容易に情報発信者になりうる状況に対して、健康増進法の規制対象の広さが有効となってくる。
違反行為に対する措置については、健康増進法では「勧告」処分とするための虚偽性・誇大性の審査が難しく、過去、指導件数は多いが「勧告」実績なし。一方、景品表示法では、健増法の「勧告」よりも違反をとりやすく、「措置命令」を出して違反行為を素早く止めさせることができる。


●明確になった違反行為(虚偽誇大広告)の要件
一般消費者に「著しく優良であると誤認させる場合」や「著しく事実に反している場合」。

「誤認」とは:
一般消費者が表示から期待することと実際のものとが著しく乖離していること。
一般消費者が表示から受ける認識、印象、期待は、表示された一部の用語や文言のみで判断されるものではなく、周辺に記載されているその他の表現、掲載された写真、イラストのみならず、ときにはコントラストも含め、表示全体で判断する。

※表示を見て一般消費者が受ける「印象」、「期待感」と実際のものに相違があると認められれば、誤認したという結果まで必要としない。

「著しく」に該当するかの判断(健康増進法):
一般消費者が、その食品を摂取した場合に実際に得られる真の効果が広告等に書かれたとおりではないことを知っていれば、その食品を購入することはないと判断される場合。

「著しく優良」に該当するかの判断(景品表示法):
業界の慣行や表示を行う事業者の認識によるのではなく、表示の受け手である一般消費者に「著しく優良」と認識されるか否かという観点から判断。
「著しく」とは、当該表示の誇張の程度が、社会一般に許容される程度を超えて、一般消費者による商品・サービスの選択に影響を与える場合。

●インターネット上の合理的根拠表示や、ステマ、口コミも要注意
景品表示法:
・インターネット広告においては、効果効能の裏付けとなる合理的根拠を示す実験結果、データ等をウェブサイト上に適切に表示することが望ましい。
・食品の効果効能の根拠として、利用者の体験談やモニターの意見等の表示を行う場合には、統計的に客観性が十分に確保されていること。

健康増進法:
虚偽誇大広告の要件に、以下の表示も対象となる。
・食品の製造業者、販売業者等(第三者に当該表示をするように依頼した者を含む。)によって、その食品の購入者個人による自発的な表明であるかのような表示(ステルスマーケティングや口コミサイトにあたる)。
※一般消費者は、通常、広告にはある程度の誇張があることを織り込んで表示内容を判断し、商品を選択しているが、明らかに広告であるとは一般消費者が認識できないような表示は、通常の広告より一般消費者の商品選択に与える影響が一般的に大きいと考えられる。

・その食品の健康保持増進効果に関する書籍による表示。

●違反となる6類型の表示事例と過去の違反事例
景品表示法及び健康増進法上の問題となる表示事例を以下の6類型に整理し、説明を加えている。

(1)疾病の治療又は予防を目的とする効果の表示例
(2)身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果の表示例
(3)特定の保健の用途に適する旨の効果の表示例
(4)成分に関する表示例
(5)人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つことに資する効果の表示例
(6)認証等に関する表示例

また、過去の違反事例として、景品表示法違反事例(措置命令3件、指導6件)、健康増進法指導事例15件を紹介している。

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気になるのは、消費者庁が検討を進める健康食品の新たな機能性表示制度と、今回の留意事項案との関係性ですが、消費者庁によると、「機能性表示解禁の話と留意事項案は関係が無い」ということでした。
機能性表示が解禁されても、合理的な根拠が無く著しく事実に相違する表示であれば、景表法や健増法で取り締まることに変わりはないということでしょうか。

いずれにしても、今回提示された留意事項案を見る限り、健康食品に関してきわどいグレーゾーンの表現や、インターネット上の広告のあり方について、監視の目はより厳しくなりそうです。


(※1)
いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(案)
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/131101premiums_1.pdf

(※2)
第130回 消費者委員会 議事録
「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」の実施状況報告(2013年8月20日)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/130/gijiroku/index.html
【資料1-2】 「「健康食品」の表示等の在り方に関する建議」に対する消費者庁の実施状況について
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/130/doc/130_130820_shiryou1-2.pdf

≪関連記事≫
・健康食品・サプリメントのあり方に関する建議書
(内閣府 消費者委員会:平成25年1月)
http://blog.fides-cd.co.jp/article/319167481.html

・「会報誌」「同封チラシ」「セールストーク」の広告監視は緩いのか?
http://blog.fides-cd.co.jp/article/379538726.html

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posted by Fides at 10:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 法改正・違反情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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